すい臓がんがわかるまで~自覚症状や兆候

「がんの王様」と呼ばれているすい臓がん。
ここまで医療が発展しても、早期発見の大切さが叫ばれている昨今でも、初期でわかるケースは稀といわれていますよね。
有効的といわれているPET検査でさえ、すい臓がんの早期発見は難しいようです。
すい臓は「沈黙の臓器」といわれていますが、超無口な夫だけに彼のすい臓も無言状態!?
その“スーパー無口”なすい臓が悲鳴を上げたのは突然でした。

2015年3月6日の夜、夫は仕事着のまま帰宅しました。
夫は、学校を卒業してから料理人一筋の人生。仕事着のまま帰宅するのは一度もありません。
聞くと、「営業中に貧血で倒れて、車で送っていただいた」とのこと。
昼間には血便が出たといいますし、顔も真っ青なので夜間救急で診てもらうことに…。

私はすぐに近くの病院に電話で問い合わせしはじめました。
電話でやり取りをしている間、夫はズルズルと横になってしまいイビキをかきはじめます。
「疲れているのだろう」と話を続けながらふと見ると、今度はビクッビクッと痙攣している夫の姿。
電話でやり取りしていたわずか5分程度で、明らかな急変です。

「ちょ、ちょっと待って!痙攣しているんですけど!」…もう私自身がパニックです。
病院関係者の方と話していたのも幸いして、「すぐに救急車を!」という指示に従いました。
素人の私が見ても、救急隊の方々の動きから緊急度が高いことはわかりました。
血圧の低下に意識も朦朧。酸素吸入されて、こちらからの問いかけにも無反応に。
原因は出血性ショックで、そのまま入院となりました。

聞けば、十二指腸の辺りから大量出血して、胃の3分の2まで血液が溜まっていた、とのこと。
あと30分遅かったら命が危なかった、という先生の言葉を聞いて背筋が凍りました。
あっちで検査、こっちで検査とストレッチャーで運ばれ、病室に入ったのが午前2時過ぎ。
ぐったりしているものの意識が戻った夫と少しだけ話して、一旦私は自宅に戻りました。
このときはまだ「がんかも…」という疑いすらしてなく、長い入院になることさえも全く想像していません。
今でも救急車の音を聞くと、この出来事がトラウマのように甦ってきます。

実はこの3日前、夫はこの病院を訪れています。
「胃もたれみたいな感じでときどきシクシク痛む」という症状が年末から続いていたから。
激痛ではないし、年齢的に胃がもたれやすいのかなぁ…程度に受け止めていましたが
「さすがにオカシイ」と重い腰をあげ、翌週に胃の検査を控えていた矢先でした。
ふたり揃って呑気といえばそうなのでしょうが、夫も私も大の病院嫌いなんです……。

「背中が痛い」というのも確かに言っていました。
でも、料理人という職業柄なのか、腰や背中の筋肉がこりやすく若いときから痛みがありマッサージなどに通っていた程。
すべて今にして思えば…になりますが、またいつもの痛みだろうと思っていました。
体重も減っていなかったですし、よく言われている黄疸も出ていません。
鈍痛のある胃もたれと背中の痛み。自覚症状といえば、たったこれだけでした。

さて、緊急入院となった夫は、十二指腸にできている腫瘍が食べ物の通過で擦れて出血したことがわかりました。
次の段階は、この腫瘍が何者なのか?ということ。
このとき、「もしかしたら十二指腸がんの可能性もある」と言われて「がーーん」となりましたが(ダジャレではありませんw)、
「だとしてもきっと初期だよ。今どきのがんは初期なら治るでしょ?第一まだ決定したわけじゃないし」と、一瞬よぎった不安を消すように強気でお気楽な会話をしていました。

そして、いつまた出血するかわからないため、経過観察も含めて絶食を強いられる夫。
大好きな食事もおあずけ状態で、検査検査の日々を送ることになります。