12.一度崩れた体調はそう簡単に回復しない~食後の発熱問題

術後12日目、2015年4月13日の夕食はお粥に豆腐ハンバーグでした。
(たまたまこの写真がiPhoneに入っていました。)

この時点で、夫の体重は入院前と比べてマイナス10キロ。
やっぱり約1カ月に渡った絶食の影響は大きくて、食べられるようになったら今度は新たな問題が…。
食後決まって、熱が出てしまうようになりました。
健康な人でも食後は体温が高くなりますが、夫の場合は38度を超えることも多くて、もうぐったり。
食事の最後の方は、はぁはぁ息切れもしてきて見た目でシンドそうなのがわかります。

食べなければ体力がつかない。でも、食べると今度は熱が上がって体力消耗。
まだ、手術の炎症もあってか、普通にしていても37度台の微熱が続いていますし、
うむむむ……人間の身体は、そう簡単には都合よくいかないものです。

それでも、夫は頑張ってよく食べてくれたと思います。
私ならきっと「あーー、食べるとまた熱が出てシンドイからヤダー」と根性無し全開になったでしょうから。
解熱剤も処方してもらっていましたが、追い付かない状態で、ほぼ1日中枕の上にはアイスノン。
食べては発熱、また食べては発熱……を繰り返しながら、少しずつ身体を慣らしていくしかありません。

そして、ちょうどこの頃、私が気になっていたのは漢方薬。
子供の頃、虚弱体質だった私は父と一緒に毎朝センブリ茶を飲んでいた渋い小学生(笑)婦人系の病気のときも漢方製剤を処方してもらっていました。
しかも、たまたま仕事の打合せで会った親しい社長さんから「これ、何かの参考になれば」と渡されたのが、これまた漢方の本。
気になっていたからか、これも神様の思し召しなのか、単なる偶然なのか……ここはひとつ、神様の思し召しということにしときますか(笑)

いただいた漢方の本を一気読み。
家にあった漢方の本も引っ張り出したり、ネットで調べたりと漢方情報をひたすら手帳にメモって、担当医の先生に相談することにしました。

このブログで何回も書いていますが、担当医の先生は話をきちんと聞いてくださる人。自分の考えを決して押し付けないですし、頭ごなしに否定することもありません。といっても、ご自分の意見はロジカルにハッキリおっしゃる方。バリバリの理系なのですけど、心の機微を感じ取ってくださる…私たちにとって頼れる存在です。

早速、夜の回診時に
「先生、昨日漢方が気になって一夜漬けしたんですけど、体調を整える方法としてどう思われますか?これとか、これとか…」(プリントアウトした紙を数枚見せて)
「お、漢方。いいと思いますよ。『補中益気湯(ほちゅうえっきとう)』は、病後の回復に飲む方も多いですしね。飲んでみます?」
あら、この先生、漢方にも寛大でした(笑)
翌日から、夫が飲む薬には1日3回の『補中益気湯』が追加されることになりました。

ただし、この『補中益気湯』がどのくらいの効果があったのか……ハッキリ言ってわかりません。
補中益気湯だけ飲んでいるわけじゃないですし、他に出ている西洋薬が効いているのかもしれない。それに、食事をするようになって少しずつでも免疫力がついてきたのかもしれないし、こればかりは「絶対」というものは存在しないと思います。
それだけ、人体のメカニズムは複雑で神秘的なのでしょう。
ひとつだけ言えるのは、「気になっているものは、とにかく一度聞いてみよう」でした。

その後の夫は、食後の発熱もだんだんと緩やかになっていき、食後に廊下を散歩できるくらいまで回復してきました。
しかし、体重が10キロ落ちたことと、熱のだるさで運動不足になっていたため、脚の筋肉はげっそり。筋肉は使わなくなるとあっという間に落ちる、というのは本当ですね。

物心ついたときからスキーをはじめて、中学・高校はスキー部に所属。プライベートでもスキー、ゴルフとやっていて、特に足腰はがっちり筋肉質だった人です。
だからこそ「シャワーを浴びたとき、自分の脚を見てイヤになったよ」と言い出すくらい、身体の変化にショックを受けていました。

これも現実。でも、めげている時間は私たちにはないのです。
食後の散歩の度に、廊下にある体重計に乗っては「お、今日は200g増えてる」「おお~、500g増加だよ。すごくね?」と無理矢理にでもモチベーションを上げながら、失ったものを少しでも取り返そうとしていました。
「小さなことからコツコツと…」「西川きよしかよ!」「いやいや、それって大事だから」とフザケながら…。