その後の夫についてほったらかしになってしまいましたので、ちょっと軌道修正して夫の術後についてお話します。
約1カ月間の絶食生活を経て、胃と腸をダイレクトに繋げる胃空調バイパス手術も無事に終わりました。
術後2日目(だったような…記憶があいまいですみません)には、待望の食事が運ばれてくることに。
さあ、これからモリモリ食べて、体力もつけて本腰入れてがんと向き合うぞー!
…といいたいところですが、物事には順序があります。
約1カ月間水分とアメしか口にできなかった夫ですので、重湯からスタートなのですが、これが「まずい」と言って食べてくれません。
重湯だからね。そんなに美味しいものじゃないのは知ってるよ。
でも、それでも食べなくちゃじゃん。
ずっと重湯じゃないんだし、これから今まで通りゴハンを食べるためにもね。
……もうあの手この手で何とか食べてもらおうとしても、ほんの4~5口運んだだけで「もういい」「片付けて」と残します。
子供かーー!?
子供の方が、多分もう少し聞き分けがいいと思うぞ!
…と言いたい気持ちをグッと堪えて(笑)
「じゃあ、私も食べてみるから」と夫の目の前で重湯を完食して見せても、「おいしくない」「やだ」と。
※病院スタッフの方には、私が食べた量を報告しています。
夫は料理人といっても、美食家というわけではありません。
といっても、ぽや~んとした味が好きじゃないのは事実。重湯用にお塩も付いてきましたが、それでもぽや~ん。
わかるよ、あなたがこういう味を好きじゃないことも。食欲が沸かなくなることも…でもね、それでは困るのですわ。
それにしても、どうしたのだろう?
こんな聞き分けのない人じゃなかったはずなんですけどね。
言葉にこそ出しませんが、まだ夫は現実を受け止めきれない精神状態なのかもしれません。
こういうときは、看護師をしていた我が母に聞くのが一番いい。
助産師でもあった母は産婦人科専門だったけれど、彼女ならもう少し説得できそうなトークを持っているかもしれない。
そして、母から夫宛に届いたメール。
「○○ちゃん、手術お疲れ様。大変だったね。
ところで、人間の身体は、絶食した日数と同じ日数だけ回復に時間がかかるの。
○○ちゃんの場合は1カ月も絶食しているし、手術もしているから、尚更身体を労わりながら食べないといけない。
赤ちゃんが離乳食を始めるように、1口を少量にして時間をかけてゆっくりゆっくり。
重湯はまずいだろうけど、炭水化物やたんぱく質とかブドウ糖の点滴よりはるかに高い栄養価があるの。神経細胞、赤血球、白血球を作るための栄養素だから、どうか嫌がらずに食べて下さい。
今食べたものが腸で吸収されて、血になるんだ、細胞に届くんだとイメージしながら食べるとちゃんと身体に届くから。
辛いだろうし、イライラするだろうけど、今が踏ん張り時よ」
※誤字脱字やヘンな言い回しは直しています
母もよくこんな長い文を打って、送ってくれたと思います。
ちょっと説教くさいですし、この手の話になると独特な世界感になるのですが、一応専門家ですからね。
それにしても、赤ちゃんの離乳食に例えてくるとは……さすがっすね(笑)
しかも、その数時間後に「どうしてもまずかったら、一緒に出ているコーンスープをかけて味付けしちゃうといいわよ(ハート)」と、おばあちゃんの知恵袋的なアドバイスも。
それからの夫は、重湯に付け合わせのコーンスープをドバーッとかけて食べてくれるようになりました。
私の母に気を遣ってくれているのかもしれませんが、まぁまぁ食べてくれれば良しとしましょう。
食事もあれよあれよという間に重湯からお粥になっていき、食事の量も日毎に増えていきます。
ただし、どうしても「これはいいや」と拒絶してたのがコレ。
食事だけではどうしても不十分になりやすい栄養素を摂るための流動食「クリミール」。
確かに、そんな美味しいものじゃ~ありません。パックなので冷蔵庫に入れて取っておけるのですが、朝・昼・晩と1日3回出るのでどんどん溜まっていく一方に。
コレが、毎日の病院通いで自分の食事もテキトーになり栄養が偏りまくっている私の高栄養流動食になっていたのはいうまでもなく。
病院へ行ったら、「さ~て、今日は何味を飲もうかな?」と栄養ドリンクを飲むかのごとく「クリミール」をゴクゴク。そんな私を見て、「よくそんなの飲めるね」と呆れ顔の夫。
えええええ!?そもそも何で私がコレを飲んでいるんでしたっけ?それに、私がそんなに栄養を摂ってどうすんじゃーい(笑)