前回に続いて、すい臓がんが発覚するまでの経過です。
出血性ショックになるほど大量出血を引き起こした腫瘍の正体。
「悪性腫瘍かもしれない」「がん」という言葉が頭のなかでグルグルしていましたが、過去に私が「大腸がんかも!?」といわれて青ざめて検査したところ何でもなかった(チャンチャン!)、ということもあって確定するまで信じないと決めていました。
まずは、内視鏡で十二指腸にできている腫瘍の細胞を採取して生検へ。
結果……何も出ず。
すでに救急搬送時の検査データで、先生はがんの可能性が濃厚、と思っていたでしょう。
7日の時点で、腫瘍マーカーのSPAN-1が187U/ml、DUPAN-2が414U/mlと高い数値(後に見せていただきましたが)。
CTにもぼや~んとした怪しい影(これも後日見せていただきました)。
でも、告知するも何も先生だってコレ!という確証を掴めなければできません。
結果的に超音波内視鏡検査(EUS)を行い、すい臓に針を刺して採った細胞でがんが見つかりました。
ここまでに、10日が経過。
その間に輸血やり~の、迷走神経反射による血圧低下でぶっ倒れ~のとありましたが、それを除けば夫の様子は普段通り。いつもと違うのは、食事ができないこと。
「ああ、腹減ったー」「何でもいいから食いてーー」「食事時間のウマそうなニオイにイライラする」愚痴をこぼしながらも、なかなか結果の出ない状況にご機嫌斜めになることもしばしば。
でも、文句をいえたり機嫌が悪くなるのは、ある意味元気な証拠、なのでしょうね。
それにしても、今の先生はごく日常的なトーンでさらっとがんの話をするんですね。(私のがん疑惑事件のときもそうでした)
6人部屋の病室で、「十二指腸からがんは出ませんでした」→「腫瘍マーカーを見るとすい臓がんの疑いも…」→「やっぱりすい臓がんでした」と日々変化していく話に、「がんも随分ポピュラーな病気になったもんだ」「ほーんと、全く深刻じゃない感じ~」なんて会話をしていても「ヤバい」「どうしよう」と脳内アラートが点滅しています。
詳しい告知については、まず先に私だけが呼ばれました。
呼ばれたというより、院内のコンビニに行こうとしたときに呼び止められたような…そのときの記憶は定かでないですが、カンファレンスルームに入って以下のことを告げられました。
・膵鉤(すいこう)部から十二指腸にかけて7cm以上の腫瘍あり。
・原発巣はすい臓で、十二指腸に浸潤している模様。
・さらに、この腫瘍が腸につながっている上腸間膜動脈(SMA)を巻き込んでいるため手術は不可能。
・さらにさらに、小さいながらも肝臓に転移しているのが見られる。
・よって、すい臓がんステージ4bと診断。
・余命は、何もしなければ半年。化学療法をしても1年。(あくまでもデータ上という前提で)
こんなイメージでしょうか。
※「遠隔画像診断.jp」さんの画像を引用させていただきました。
私は先生の説明に、「はぁ…」「へ?」「そう…です…か……」「は?」と心ここにあらずな返事しかできませんでした。
よくドラマや映画で「せ、先生、ウソでしょ?ウソと言ってください!」と取り乱し号泣するシーンがありますよね。でも、あんなのはウソ(※個人の見解です)。人は想像をはるかに超えた事態に直面すると、こんなマヌケな返答しかできないのかもしれません。
さあ、このがんとどう向き合っていこうか?
といきたいところですが、夫の場合はがん治療以前に食事が摂れるようにすることが先決。胃と腸を直接つないで、出血するリスクの高い十二指腸の腫瘍部分に食べ物が通らないようにする「胃空調バイパス手術」を提案されました。
まずは、食事が普通にできるようにすること。これが私たちの目標となりました。